“騒音おばさん”をモチーフにした映画「ミセス・ノイズィ」
映画館で、今話題の「ミセス・ノイズィ」を観ました。
主人公は、大きな賞を受賞してから伸び悩み、壁にぶつかっている小説家。彼女に降りかかってきたのが隣人の布団叩きの音でした。
数年前、ラップ音をかけた騒音おばさんの動画がテレビやネットで話題となりました。
動画を観た人たちが「マジ、ヤベ〜」などさんざん煽り、騒音おばさんは社会現象に。私自身も、隣人トラブルの恐怖を思い知らされました
映画は、主人公と隣人おばさんの2視点で描かれていきます。主人公の視点だけではわからなかった真実が、途中から浮き彫りになっていきます。笑いもあり、最後はホロリとさせられます。
私も主人公と同じく、物書きです。主人公は編集者に、表面的な面白さではなく、キャラクターや一つ一つの場面を、多面的に深く書くことを要求されます。
小説家は、隣人おばさんを主人公にした小説を連載し、おばさんの動画がネットにアップされて炎上したことで、小説は大きな話題を集めます。しかし、その浅はかとも言える行動が、とんだ事件を招いてしまいます。(これ以上はネタバレ)
私も編集者さんに同じことを言われています。流行っているものの二番煎じじゃなくて、滝川節を書いて下さい。キャラクターを深く丁寧に!
改めて、編集者さんの言葉が胸に刺さりました。
改稿はまだ時間はあります。次から次に出せなくとも、一作一作、人間の本質を書けるようになりたい!そう思わされた映画でした。
そして、私が文芸デビュー作にも書いた「真実は人それぞれ違う」というせりふ。現象を見ているだけでなく、真実とは解釈なのでしょう。
20年以上前に知り合いの映画人が亡くなった後、死の真相を巡って、さまざまな憶測(フェイクニュース)が飛び交い、今では都市伝説のようになっています。
いかに今の世の中、フェイクが多いか。そして、私も軽率な発言をして、他人や身内を傷つけないよう自戒したいと思いました。