成田尚哉さん、ありがとう

昨日、映画プロデューサー・成田尚哉さんのご葬儀に行ってきました。

成田さんは日活時代、「天使のはらわた」シリーズで有名な石井隆監督を生み出しました。相米慎二監督「ラブホテル 」を最後に退社し、NCP、アルチンボルドなどで活躍されました。

私は日活(当時はにっかつ)に入社直後、NCP時代の成田さんと知り合い、「下町の会」という、東京の下町の祭りを訪ねてお酒を飲む会に誘っていただきました。

成田さんは、官能作家・小菅薫という顔と、コラージュ画家という顔もお持ちでした。

一昨年暮れには早稲田大で、2人で日活ロマンポルノに関する講演をやらせていただいたり、コラージュ展を観に行かせていただいたり、官能小説を第1作目から全てお読みいただいて背中を押してもらうなど、私はすっかり甘え倒していました。

癌転移で助からないと知り、2週間ぐらい寝込んでしまいました。

あの、優しい低い色気のある囁きが、もう聞けない。好奇心溢れた少年のような瞳が見られない、あの眩しい才能がこの世から消える…パニックになりました。

成田さんからの最後の小説感想メール。

【「驚いた」というのと、「やっぱりね」、が同時に込み上げてきました。

小説、文学、文章、……あなたは「言葉」を掴みましたね。

そして「言葉で自分を救った」というか「世界」を救い、表現して見せました。すごいことです。

これ以上、私からは何も言うことはありません。】

私は嬉しくて飛び上がりましたが、最後の文面がひっかかりました。

もう何も言うことはない…もう感想はいただけないのか。

これは、5月のメール。余命宣告は3月だったそうです。

成田さんの、サヨナラのメッセージだったのですね。

成田さんに見いだしていただけた才能を腐らせることなく、精進していきたいと思います。

最後に棺にお花を入れて、お礼を言いました。

早稲田大講演後の打ち上げ

コメントを残す