ニノ主演映画「浅田家!」にハマリました

「チチを撮りに」「湯を沸かすほどの熱い愛」「長いお別れ」「浅田家!」。

なぜ、中野量太監督のユートピア映画に心惹かれるのか、と「チチを撮りに」から思ってきました。リアリズムとは無縁で、家族というテーマを無責任なほどポップに描いています。

「チチを撮りに」の魚のオチ、「湯を沸かす〜」の煙突の煙の色、「長いお別れ」の痴呆症の夫を明るく支える松原智恵子さんのあり得ない邪気のなさ、そして「浅田家!」は、オチから考えたのではないかと思えるほどの奇想天外なストーリー。二宮和也さん扮するカメラマンを取り巻く、底抜けに明るい家族のエピソードがつづられています。

中野監督は昔のインタビューで、子供の頃は母子家庭で、なぜか従姉妹が同居し、お母様さまは息子と従姉妹を分け隔てなく育てたと語っていました。一連の映画に出てくる、とことん芯が強くて突き抜けたように明るい女性像は、実在の母親がモデルになっているのでしょう。

私も母子家庭育ち。うちの母親も、シリアスな苦労をも飛び越えた強さや明るさを持っていました。私も官能小説の奥底に滑稽さやユーモア、感情を揺さぶるものを書きたい。性的な興奮をそそるだけでなく、人と人との絆を描きたいと思っています。

家族を描き続ける中野作品には、必ず湯気の食事シーンが出てくる。うん!やはり、食べることで家族の絆は深くなる。

私の新作「ふたつの月に濡れる」(紅文庫、10月26日発売)はバーの話。ここにも、あり得ないオデンが出てきます(笑)。映画や本は、幸せのエキスを食べられる重要な栄養素なのかもしれません。

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